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⬡ API & SDK/2026-05-25上級

二段構えのモデル構成 — Haiku 4.5 オーケストレーター × Opus 4.6 ワーカーで保つコストと品質の均衡

オーケストレーションをHaiku 4.5に、専門タスクをOpus 4.6に任せる二段構えの構成を、公表単価に当てた月次試算つきで書き残します。ワーカーに任せる5つの判定基準、ストリーミングの使い分け、詰まった落とし穴、そして来なかった値上げに備えて設計を動かしてしまった失敗まで。

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ある朝、Anthropic の利用明細を眺めながら、ふと「これ、全部 Opus に投げる必要は本当にあるのか」と立ち止まったことがあります。個人開発で、長文生成をともなうバッチジョブを日次で回しています。その月の請求書を並べたとき、出力1トークンあたりの単価差を、ようやく実感の伴う数字として受け止めることができました。

ここで扱う「二段構え」は、Haiku 4.5 をオーケストレーター(指揮役)に置き、Opus 4.6 をワーカー(専門役)として呼ぶ構成です。安いモデルが上に立ち、必要なときだけ高価なモデルを呼びます。一見すると逆では、と思われるかもしれませんが、私の運用ではこの並びが結果として最も読み筋が安定しました。ここから先は、実コストの数字、判定基準、コード、そして実装中に詰まったいくつかの場面を順に整理していきます。

なぜオーケストレーターを Haiku に置くのか

ナチュラルな発想は「賢いモデルにルーティングさせて、安いモデルに作業させる」だと思います。私も最初はそうしていました。ところが Opus 4.6 にルーティング判定をさせると、判断の遅さと API 単価の二重の重さが効いてきて、入力 1M トークン換算で見ると指揮役のコストが本体作業を上回る場面が増えていきました。

オーケストレーション側の仕事は、実は「短い文脈で、JSON を返す」という制約の強い作業です。文章を生成する力よりも、構造化された出力が安定して返ってくることのほうが重要になります。Haiku 4.5 は短文の構造化出力で十分な精度を出してくれるため、ここでは Haiku のほうが用途に合っています。むしろ Opus は、長い文脈を抱えて創造的に書き下ろす、あるいは複雑な推論を逐次的に重ねる場面で本領を発揮します。

墨付けをする職人と、削り出す職人を分けるのと同じ考え方だと捉えています。判断の道具と作業の道具を別物として持っておくと、最終的な仕上がりは安定します。私自身、ルーター層を「判断専用のモデル」として切り出してから、出力品質のばらつきが判断側の問題なのか生成側の問題なのかを、はっきり切り分けられるようになりました。

実コストの内訳 — 公表単価に当てて数え直す

単価は変動しますので、ここでは 2026年9月時点の公表単価を明記したうえで計算します。消費トークン量は私の運用ログから取ったものです。

モデル入力出力
Claude Opus 4.6$5 / MTok$25 / MTok
Claude Sonnet 4.6$3 / MTok$15 / MTok
Claude Sonnet 5$2 / MTok$10 / MTok
Claude Haiku 4.5$1 / MTok$5 / MTok

以前この節には「Opus 単独は入出力合算で約 $15 / 1M、二段構成は約 $4.50 / 1M」という、入出力を均した数字を並べておりました。いま読み返すと、これは自分を都合よく納得させる並べ方でした。長文生成では出力トークンが支配的で、しかも出力単価は入力単価の 5 倍です。均してしまえば、どのモデルの数字も「入出力が半々という架空のワークロード」の値段になってしまいます。

コストを比べる単位は $/MTok ではなく、自分のジョブ 1 件です。 入力と出力を分けて数え直したところ、削減率は私が言っていた 70% ではなく、59.6% でした。内訳は後述の月次試算に一行ずつ並べています。

エスカレーション率の 30% という数字は、私の生成バッチで実際に Opus へ回ったタスクの比率を、100件分のルーターログから測ったものです。残り 70% は Haiku がそのまま処理する、あるいはツール呼び出しを通じて軽量な後段に流すだけで完結します。

個人開発の規模では、この差はそのまま「試せる回数」に変わります。単価が落ちたぶんだけ、失敗を許容できる幅が広がりました。

数値だけ見ると「Haiku 単独でいいのでは」と思われるかもしれません。実際に試したのですが、私の用途では出力品質の差が無視できませんでした。論理展開、コード例のニュアンス、構造の切り方といった細部で Opus の出力がやはり一段抜けていて、成果物の水準を落とさないためには、ここを Haiku に統一しないほうが妥当だと判断しています。モデルそのものの選び分けについては、Claude Sonnet 4.6 と Opus 4.6 の使い分け にタスク別の基準をまとめています。

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この記事で得られること
✦月480件のジョブを公表単価に当てた費目別の試算表で、削減率が 59.6% であること、効いているのは Opus の出力トークン削減ただ一点であることを示します
✦オーケストレーターが分岐すべきタスクと、ワーカーに丸投げすべきタスクを判定する5つの基準とコード例を提示します
✦長文生成バッチのルーターログから抽出した、ハイブリッド構成で実際に詰まった3つの落とし穴と回避策を、原因と対処のセットでお持ち帰りいただけます
✦9月1日に予定されていた Sonnet 5 の値上げが取り消された事実と、単価表には現れないトークナイザ世代差(同じ文章で約30%増)が中段の損得をどう変えるかを、実計算つきで確認いただけます
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