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⬡ API & SDK/2026-05-29上級

Claude API のプロンプトキャッシュを 5m と 1h で二段に分ける — TTL を分けるとコストは下がり運用は安定する

Anthropic API の cache_control には 5 分と 1 時間という 2 種類の TTL があります。これを「静的な前提情報は 1h、可変な few-shot は 5m」と二段に分けて運用する設計を、私の本番ワークロードで観測した数値とともに整理しました。

claude-api83prompt-caching15cache-controlttlcost-optimization28production87

✦ プレミアム記事

import { Callout } from '@/components/ui/callout';

Anthropic の Messages API には cache_control というフィールドがあって、長いプロンプトの先頭部分をサーバー側にキャッシュさせられます。私自身、Claude Lab を含む Dolice Labs の 4 サイトと、2014 年から並行運用している iOS / Android アプリ群(累計 5,000 万ダウンロードを超えました)で、毎日かなりの量の API リクエストを投げています。そのコストを真面目に下げようとした時、いちばん効いたのは「キャッシュを入れるかどうか」ではなく、「TTL を何種類使い分けるか」でした。

cache_control の TTL は、既定の 5m(5 分)と、ttl: "1h" を指定したときの 1 時間の 2 種類が選べます。これを「全部 5m で動かしておけばいい」と考えていたのが、半年前の私です。請求書をきちんと内訳ベースで眺めた結果、静的な前提情報は 1h で、可変な few-shot だけ 5m に分ける ことで、書き込みコストとヒット率のバランスが大きく変わると気づきました。本稿はその設計プロセスと、私の手元で動いている本番ワークロードでの観測値を、なるべくそのままの形で残すための実装メモです。

なぜ「単一 TTL」では効きが悪いのか

プロンプトキャッシュを最初に入れたとき、私は以下のような構造で書いていました。

# 改善前: すべて 5m TTL の単一キャッシュ
response = client.messages.create(
    model="claude-sonnet-4-6",
    max_tokens=2048,
    system=[
        {
            "type": "text",
            "text": SYSTEM_PROMPT,  # 約 4,500 トークン
            "cache_control": {"type": "ephemeral"},  # 5m
        }
    ],
    tools=TOOLS,        # 約 1,200 トークン
    messages=[
        {"role": "user", "content": user_text},
    ],
)

これでも一見ちゃんと効いているように見えました。usage.cache_read_input_tokens が動き出すと「あぁ、ヒットしているんだな」と安心してしまいます。ただ、しばらく運用してログを集計すると、2 つの問題が浮かびました。

ひとつは、夜間に 5 分以上アクセスが空くたびに、4,500 トークン分の cache_creation_input_tokens が再課金されていた ことです。書き込み単価は通常入力の 1.25 倍ですから、これが 1 日に何十回も走ると、せっかくのキャッシュ節約がだいぶ食われます。私のアプリの一部はオフピーク帯にユーザーが散在するタイプで、特に響きました。

もうひとつは、可変な few-shot を後ろに足したくなる場面で、「キャッシュブレークポイントは 1 リクエストに最大 4 つまで」という制約のなかで、可変分のせいで静的分の境界が変わって書き直されてしまう ケースが出てきたことです。これは公式ドキュメントの読み方が甘かった私のミスで、後述の二段構成にすると自然に解消しました。

1h TTL が刺さるのは「読まれ続ける静的層」だけ

cache_control に ttl: "1h" を渡すと、キャッシュ期間が 1 時間に延びます。代わりに 書き込みコストが通常の 2 倍(5m 版の約 1.6 倍)になります。ここを取り違えると、1h を入れるほど高くつくという逆転が起きます。

私は次のような単純なルールで判断しています。

書き込みコスト増 < ヒットによる節約
↓
平均アクセス間隔 < 1h、かつ夜間/休日にアクセスがゼロにならない層
↓
1h TTL の出番

逆に、ユーザーごとに変わる few-shot や、リアルタイムに差し込む RAG コンテキストは、そもそも 1h 持たないし、持たせる意味もない ので 5m のままにします。

私の運用の場合、1h を入れる価値があったのは次の 3 つでした。

  • 長いシステムプロンプト(ペルソナ・出力フォーマット・安全ガード)
  • tools の JSON Schema 定義(特に 5 つ以上ツールがある時)
  • 全ユーザー共通のドメイン知識(ナレッジベースの「コア部分」)

逆に 5m のままで十分だったのが、ユーザーごとに切り替える few-shot や、その日のキャンペーン情報など、1 セッション内では効くが翌日には別物に差し替わる 系のコンテンツです。

✦

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✦system / tools を 1h TTL、可変の few-shot を 5m TTL に分ける二段キャッシュ設計の具体実装
✦cache_read_input_tokens と cache_creation_input_tokens の比から TTL の妥当性を判断する監視メトリクス
✦私の本番ワークロード(複数の iOS/Android アプリ運用と Dolice Labs 4 サイト並行運用)でコストが約 42% 下がった配分パターン
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