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API & SDK/2026-07-24上級

共通エージェント定義をセッション単位で差し替える運用設計

Managed Agents の agent_with_overrides を使い、1つの土台エージェントをセッションごとにモデル・プロンプト・ツール・MCP・スキルまで安全に差し替える設計パターンを、検証コードと実運用の落とし穴とともにまとめました。

Managed Agents3Agent SDK5MCP51運用設計22マルチテナント2

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4つのブログサイトを、ほぼ同じ振る舞いのエージェントで回しています。

違うのはシステムプロンプトの一部と、参照する MCP コネクタ、それに読み込ませるスキルだけ。それなのに、私はしばらくの間、サイトごとに丸ごと別のエージェント定義を持っていました。

共通部分を直すたびに4箇所を手で揃える。片方だけ直し忘れて、ある夜のバッチだけ古いプロンプトで走る。似た定義が少しずつずれていく感覚は、地味に神経を削ります。

Managed Agents の agent_with_overrides に出会って、この構図をやっと畳めました。土台となるエージェント定義は1つ。セッションを作るその瞬間だけ、モデル・システムプロンプト・ツール・MCP サーバー・スキルを差し替える。定義は増やさず、実行時に色を付ける発想です。

個人開発で4サイトを回す中でたどり着いた設計です。以下では、その差し替えを「事故が起きない形」に落とし込むための考え方を、実際に使っている検証コードとともに共有します。

なぜ「定義を増やす」ではなく「セッションで差し替える」のか

選択肢は大きく3つありました。

方式共通部分の同期差分の見通し権限事故のリスク
サイトごとに別定義手動・ずれやすい良い(独立)低いが定義爆発
1定義+分岐をプロンプト内に埋める不要悪い(肥大化)中(境界が曖昧)
1定義+セッションでオーバーライド不要良い(差分が明示)設計次第で低くできる

3つ目を選んだ決め手は、差分がコードとして一箇所に集まることでした。

「このサイトのときは、この MCP と、このスキルだけ」という差分が、セッション生成の直前に、読める形で並ぶ。プロンプトの奥深くに条件分岐を埋めるより、はるかに見通しが利きます。

ただし、この方式には最初に必ずつまずく一点があります。

直感に反した点:オーバーライドは「上書き」であって「統合」ではない

最初、私はオーバーライドを「土台に差分を足すもの」だと思い込んでいました。

土台エージェントには4つのツールを許可してある。あるセッションで、そのうちの1つを別ツールに替えたい。だから tools に替えたい1つだけを渡しました。

結果、そのセッションでは残り3つのツールが消えました。

agent_with_overrides で指定したフィールドは、そのフィールドまるごとを置き換えます。配列であっても、要素単位でマージされるわけではありません。tools に1要素だけ渡せば、そのセッションのツールはその1つだけになります。

オーバーライドで渡した内容そのセッションでの結果
フィールドを省略土台の値をそのまま継承
フィールドに空配列 []その要素は「無し」になる(継承ではない)
フィールドに一部の要素だけ渡した要素だけになる(残りは消える)

言われてみれば当然の仕様です。けれど「差分を足す」という語感に引きずられると、静かにツールが減った状態で夜間バッチが走ることになります。私はログを見て初めて気づきました。

ここから得た原則はひとつ。オーバーライドは常に「そのフィールドの最終形」を渡す。 部分的な足し引きをしたいなら、土台の値を読み込んで、こちらで合成してから渡す。この合成を安全にやるのが、次のファクトリの役割です。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

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この記事で得られること
セッション単位オーバーライドを安全に組む検証付きファクトリの完全コード
オーバーライドが上書きか統合かで挙動が変わる分岐と、私が踏んだ落とし穴
4サイトを1つの土台エージェントで回すための、差し替え粒度の判断基準
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