アプリの紹介資料を作ろうとして、白紙の1枚目で30分手が止まる。個人開発を続けていると、私自身、こういう時間がいちばんもったいないと感じてきました。話す中身は頭の中にあるのに、構成の順番とスライドの枠組みが決まらないだけで前に進めない。Claude in PowerPoint を使い始めて変わったのは、まさにこの「最初の一枚」の摩擦でした。
Claude in PowerPoint でできること
Claude in PowerPoint は、Microsoft PowerPoint の中で Claude を直接呼び出せるアドインです。スライドの構成提案、本文の生成、スピーカーノートの下書き、既存スライドの言い換えまでを、PowerPoint から離れずにこなせます。
ポイントは「完成品を一発で出す道具」ではなく「下書きを高速に用意する相棒」だと捉えることです。叩き台が30秒で出てくれば、こちらは順番の入れ替えと言葉の磨き込みに時間を回せます。
インストールと初期設定
導入は Microsoft 365 のアドインストアから行います。
- PowerPoint を開き、「挿入」タブから「アドインを入手」を選択します
- 「Claude for PowerPoint」を検索してインストールします
- Anthropic アカウントでサインインします
インストール後、リボンに「Claude」タブが追加されます。サインインで一度つまずいたら、ブラウザ側で Anthropic にログイン済みかを先に確認すると早く解決します。
スライドデッキをまとめて下書きする(Generate Deck)
いちばん効くのが、トピックを渡すだけで一通りのスライドを生成する「Generate Deck」です。
- 「Claude」タブから「Generate Deck」を選びます
- プレゼンのトピック、対象者、スライド枚数を入力します
- Claude が構成案を提示します。順番や見出しを直してから「Generate」を押します
ここで大事なのは、いきなり Generate を押さず、先に構成案だけを確認する一手間です。構成の段階で「この流れで合っているか」を直しておくと、本文生成のやり直しが一気に減ります。各スライドのタイトル・本文・箇条書き・スピーカーノートまで一括で埋まるため、土台づくりの時間がそのまま浮きます。
既存スライドを言い換える(Improve Slide)
すでにあるスライドを整えたいときは、対象を選んで「Improve Slide」を使います。
- 文章の圧縮: 詰め込みすぎた段落を要点だけに削ります
- 視覚化の提案: 表やグラフ、図解にできる箇所を指摘してくれます
- トーンの調整: 経営会議向け、社内共有向けなど、相手に合わせて文体を変えます
私がよく使うのは「文章の圧縮」です。自分で書くとつい説明的になり、1枚に文字を詰めすぎてしまいます。読み上げる前提の箇条書きへ削ってもらうと、スライドが一気に見やすくなります。
実際に効いたプロンプトの組み立て方
結果の質は、指示の具体性でほとんど決まります。
❌「売上についてのプレゼンを作って」
✅「2025年度Q4の売上実績を経営会議で報告するプレゼンを作成。
対前年比の成長率、地域別内訳、来期の見通しを含め、
10枚以内でまとめてください」
良い例では、相手(経営会議)・含めたい要素(成長率・内訳・見通し)・分量(10枚以内)の三つを渡しています。この三点を最初に決めておくと、出てくる構成のブレが小さくなります。
スピーカーノートを別で頼むのも効きます。本文を確定させたあとに「各スライドに、口頭で1分話す前提の補足ノートを付けてください」と指示すると、登壇時の台本が同時に用意できます。スライドは削って見やすく、説明はノートに逃がす、という分担が自然に作れます。
作品は手作業、資料づくりは AI という線引き
私はアプリ開発と並行してアート活動も続けていますが、作品そのものの制作には AI を使わない、と決めています。一方で、作品や活動を「説明する」資料づくりには AI を全面的に頼っています。展示の案内、アプリの紹介スライド、活動の報告資料といった、伝えるための工程です。
この線引きは、Claude in PowerPoint のようなツールとの相性がとても良いと感じています。中身を考えるのは自分、それを人に届く形に整えるのは AI。創作の時間を守るための役割分担として、私はこの使い方に落ち着きました。資料づくりに追われて本業が削られていた方ほど、この切り分けは効くのではないでしょうか。
Copilot との違いをどう考えるか
PowerPoint には Microsoft Copilot という選択肢もあります。両者は重なる機能も多いので、何を重視するかで選ぶのが現実的です。
| 機能 | Claude in PowerPoint | Copilot for PowerPoint |
|---|---|---|
| スライド自動生成 | 対応 | 対応 |
| 長い指示の読み取り | 細かい条件まで反映しやすい | 標準的 |
| 日本語の自然さ | ネイティブに近い | 対応あり |
| カスタム指示 | 柔軟に調整できる | テンプレート寄り |
細かい条件を一度に渡して構成まで詰めたいなら Claude、Microsoft 365 の他機能と地続きで使いたいなら Copilot、という選び分けが目安になります。
つまずきやすい点
最初に戸惑いやすいのが、ブランドテンプレートを当てる順番です。生成してからテンプレートを適用すると、枠からテキストがはみ出して崩れることがあります。会社や自分のテンプレートを使うなら、先にテンプレートを適用した状態で Generate を回すと、見た目の手直しが減ります。
もうひとつは、生成された箇条書きがそのままだと密度が高すぎる点です。AI は要素を漏らさず詰め込もうとするため、1枚あたり3〜4項目まで削る前提で受け取ると、読み手に優しいスライドになります。
まずはここから
次に作るスライドで、いきなり清書を始める前に Generate Deck で構成案だけ出してみてください。順番を直して本文を埋め、最後にスピーカーノートを足す。この順で回すと、白紙の1枚目で止まる時間がなくなります。お読みいただき、ありがとうございました。