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Claude Code/2026-06-13上級

ネスト型サブエージェントのコンテキスト予算 — 5階層委譲で品質を落とさない契約設計

サブエージェントが入れ子にできるようになった後、深い委譲ほど要約が痩せて再実行が増えました。階層間にトークン予算と受け渡しスキーマ、失敗隔離、独立グレーダーの4つの契約を入れて品質を立て直した実装記録です。

Claude Code143サブエージェント7アーキテクチャ3自動化46

プレミアム記事

深夜のスケジュール実行が、いつもより 40 分長く回り続けていました。ログを追うと、記事生成を任せたサブエージェントが、その下に検証用の孫エージェントを起こし、孫がさらにひ孫を起こして、4 段目で同じ整合性チェックを延々と繰り返していました。誰も止め役を持っていなかったのです。

サブエージェントの入れ子が解禁されてすぐ、個人開発で回している 4 サイトのブログ自動運用を、親 1 段の扇形から木構造の委譲へ作り変えました。深くできるのは確かに便利でした。ただ、深くした瞬間に品質メトリクスが悪化したのも事実です。要約が一段ごとに痩せ、再実行が増え、トークン消費が膨らみました。

原因は階層を増やしたことそのものではなく、階層の「あいだ」に契約が無かったことでした。私自身がこの 3 週間で入れた 4 つの契約 — トークン予算、受け渡しスキーマ、失敗隔離、独立グレーダー — と、その効果の実測値を書き残します。

「深くできる」と「深くしてよい」は別の問題

木構造の委譲には、フラットな並列には無かった固有の減衰が 2 つあります。

ひとつは要約減衰です。子が親へ返すとき、子は自分の作業ログを要約します。孫から子へも要約され、その要約をさらに子が要約して親へ返す。一段ごとに情報が圧縮され、4 段重ねると親が受け取る頃には「成功しました」という一行だけが残る、という事故が起きました。

もうひとつは制御の喪失です。親は孫やひ孫を直接見ていません。途中の階層が暴走しても、親に届くのは「処理中」という中間報告だけで、止める判断材料がありません。冒頭の 40 分暴走はこれでした。

ですから設計の問いは「何階層まで深くできるか」ではなく、「各階層が上下とどんな契約を結ぶか」になります。深さは結果であって、目標ではありません。

階層ごとにコンテキスト予算を配る — トークン契約の設計

最初に入れたのがトークン予算の配分です。親が全体予算を持ち、子へ委譲するたびに、その子が使ってよいトークン量を明示的に渡します。子は自分の取り分の中から、さらに孫へ分け与えます。

配分は均等割りではうまくいきませんでした。末端ほど具体的な作業をするのに予算が枯れていく、いわゆる先細りが起きるためです。私は深さに応じて逓減させつつ、末端に下限を保証する配分にしています。

def allocate_budget(total: int, depth: int, max_depth: int = 3,
                    leaf_floor: int = 8000) -> dict:
    """親の残予算 total を、この階層と子へ配分する。
    decay: 階層を下るほど一度に使える割合を絞り、暴走の上限を作る。
    leaf_floor: 末端が具体作業をやり切れる最低トークンを保証する。
    """
    if depth >= max_depth:
        return {"self": max(total, leaf_floor), "children_pool": 0}
 
    decay = 0.55 ** depth          # 0階層=1.0, 1階層=0.55, 2階層=0.30
    self_share = int(total * 0.35 * decay)
    children_pool = total - self_share
 
    # 子に渡せる総量が末端下限を割るなら、これ以上深くしない
    if children_pool < leaf_floor:
        return {"self": total, "children_pool": 0, "force_leaf": True}
 
    return {"self": self_share, "children_pool": children_pool}

force_leaf が返ったら、その階層はもう委譲せず自分で処理を終えます。これが「予算による深さの自動制限」になりました。最大 5 階層を許可した環境でも、私の記事生成ワークフローでは予算が 3 階層で末端下限に達するため、実質 3 階層で頭打ちになります。深さを定数でハードコードするより、予算が自然に天井を作るほうが、タスクの重さに応じて伸縮して扱いやすいと感じています。

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この記事で得られること
階層ごとにトークン予算を配る配分アルゴリズムと、予算超過時に要約を縮退させる実装コード
再実行率 23% から 7%、要約忠実度 0.62 から 0.88 へ改善した3階層委譲の実測値
親が自分の成果物を採点しないための、末端に置く独立グレーダーのルーブリック設計
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