毎月の中頃になると、壁紙アプリの中身を少しずつ入れ替える時間が来ます。新しいイメージを 20〜40 枚追加して、カテゴリ分類を見直して、App Store の説明文を季節に合わせて整える。2014 年からこの作業を続けてきましたが、扱うアプリが 4 本に増えたあたりから、毎月の作業が静かに 1 日仕事へと膨らんでいました。
2026 年 2 月から、この月次更新の手順を Claude Code に少しずつ預けてみました。完全自動化ではなく、「自分の手を残す場所」と「任せる場所」を意識して切り分けながら 3 ヶ月運用してみた結果、思っていたよりも生活のリズムが整ったので、所感としてまとめておきます。
宮大工だった両祖父から受け取った「手を動かすことが一つの信心」という感覚は、私にとって今でも作業の前提です。自動化を進めるときでも、その感覚を上書きしない形を探していました。
月次更新の中身を Claude Code 視点で書き出した話
まずやったのは、月次更新の中で「自分が毎回同じ判断をしている部分」を書き出す作業でした。1 ヶ月分の作業を、頭の中ではなくテキストエディタに並べてみると、思っていたよりも繰り返しが多いことに気づきます。
- 新規追加画像のファイル名リネーム規則の適用
- カテゴリフォルダへの仕分け
Assets.xcassetsへの参照追加(iOS 側)res/drawableへの配置(Android 側)- アプリ内コンテンツ JSON の更新
- App Store / Google Play メタデータの季節ワード差し替え
このうち最後の 2 項目は、年に数回しか変えない判断が混ざるため自分の手を残しました。残りの 4 項目は、ルールを言語化できる範囲なので Claude Code に任せられそうだと感じました。
一番ありがたかったのは「分類の下書き」
3 ヶ月続けて、一番効いたのが画像のカテゴリ分類でした。Beautiful HD Wallpapers では「自然 / 都市 / 抽象 / 季節」という 4 カテゴリで運用していて、毎回 20〜40 枚の新規イメージをここに振り分けます。
これまでは画像を 1 枚ずつ開いて目視で決めていました。自分の作業としては嫌いではないのですが、夜中の眠い時間にこれをやると判断が荒くなり、翌日のレビュー時に半分くらい入れ替えることがありました。
Claude Code に画像ファイルへのパスと過去 6 ヶ月分の分類実績を渡し、「あなたなら同じ基準でどう分けますか」と聞くと、各画像に対して候補カテゴリと信頼度を返してくれます。これを下書きとして受け取り、自分は最終確認のクリックだけに集中する形に切り替えてからは、夜の判断ぶれが減りました。
正解率は体感で 8 割ほどです。残り 2 割は私の感覚と合わない部分が残るので、その差分こそが「個人開発者として残しておきたい判断」だと割り切るようにしました。
もう一つ気づいたのは、Claude Code に「過去 6 ヶ月の分類実績」を渡すことの効果です。最初の月は素朴に「自然 / 都市 / 抽象 / 季節のいずれかに振ってください」と頼んだのですが、季節境界付近のイメージで揺れが目立ちました。2 ヶ月目から、過去の分類例を添えたところ、判断軸が私の感覚にぐっと近づき、最終確認の差分が体感で半分くらいに減りました。
ハマったところ — メタデータと画像順の整合
意外と苦戦したのは、JSON への追記順と App Store スクリーンショットの並びを揃える作業でした。Claude Code は「画像を追加してください」と言えばきれいに JSON を更新してくれますが、スクリーンショット側のサムネイル順を変えるかどうかは判断材料が不足していて、過去 1 度だけ実機の並びと食い違ったことがあります。
このときは、月次更新の最後に「実機ビルドで一度サムネイル一覧を撮って、それを Claude Code に共有してから JSON 順を決め直してもらう」という工程を足しました。AI に任せきりにせず、人間側で 1 枚撮るだけのチェックポイントを残しておく。この線引きは、累計 5,000 万 DL を超える規模の壁紙アプリでも、結局は手元の感覚を信用する場面が残るのだと再確認させてくれました。
3 ヶ月で見えてきた所感
数値で言えば、月次更新にかかる時間は約 6 時間から 2 時間半まで縮みました。半分以上削れた計算ですが、その時間がそのまま余暇になったわけではありません。空いた時間の多くは、削減前にはできていなかった「来月どんなイメージを増やそうか」を考える時間に振り直されています。
個人開発を 2014 年から続けてきて、何度か感じてきたのは「単純作業を減らすことそのものより、判断の質に時間を回せることのほうが、長く運営する上で効いてくる」ということです。Claude Code に下書きを作ってもらい、自分は良し悪しの判断と方向性決めに集中します。この役割分担は、思っていた以上に自然に体に馴染みました。
時間配分の中身を細かく見ると、画像分類が約 90 分から 25 分、JSON 更新が約 60 分から 10 分、Android 側の res/drawable 配置が約 45 分から 15 分に縮みました。残った 2 時間半のうち、半分は実機での目視確認に充てています。Claude Code の下書き品質が上がっても、最終チェックを短縮するつもりはありません。ユーザーの方が毎日眺める画面の素材なので、最後の数分は人間の目を通したほうが落ち着きます。
1997 年に 16 歳でインターネットに触れて、独学でプログラミングを始めたあの頃、「新しい道具に出会うたびに、自分のできることが少し増える」という感覚がありました。Claude Code との 3 ヶ月は、その感覚にとても近かったように思います。
これから取り組みたいこと
直近では、Android 側の res/drawable-xxhdpi への配置と、密度別バリアントの生成を Claude Code 経由でまとめて回せるようにしたいと思っています。現状は手動で ImageMagick を叩いている部分なので、ここを Claude Code に任せられれば、月次更新の最終フェーズで体が重くなる場面がさらに減るはずです。
同じように個人で複数アプリを運営している方の参考になれば幸いです。お読みいただきありがとうございました。