月曜の朝、受託サイトの問い合わせメールと、今週の予定表を並べて眺めようとしていました。Cowork に頼めば十数分で表になる——そう分かっていながら、手が止まりました。メールも予定表も、読ませる道がいくつもあったからです。
コネクタをつなぐ道、Claude in Chrome に画面を触らせる道、そして必要な分だけ書き出してフォルダに置く道。どれでも結果は似た表になります。違うのは、その道を通すあいだ Claude に何を許したことになるかでした。
ここからは、三つの道を「速さ」ではなく「どこまで触れてしまうか」で並べ直し、私がいま使っている選び方と、Cowork に渡す指示の雛形をお伝えします。
最初に「次へ」で進んでしまった日
正直に書きます。コネクタを初めてつないだとき、私は許可の画面を「次へ」で進めてしまいました。つながった嬉しさのほうが勝っていたのです。
数日後、接続済みの一覧を開いて、許可の内容をはじめて読みました。読むだけで足りる用途なのに、書き込みまで許したままになっていました。実害は出ておりません。けれど、胃のあたりがすっと冷えたのを覚えています。
読むだけの作業に、書く力まで渡す必要はありませんでした。そこで、道を選ぶ順番そのものを見直すことにしました。
三つの経路を、同じ表に並べる
同じ「予定表とメールを読ませたい」という目的で、三つを並べてみます。以下は私の運用上の整理です。画面の名称や細かな挙動は版によって変わりますので、お使いの画面でご確認ください。
| 経路 | Claude が触れる範囲 | 手間 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| ファイル書き出し(CSV・PDF をフォルダへ) | 渡したフォルダの中だけ | 書き出しは自分の手作業 | 一度きりの集計、触らせたくないサービス |
| コネクタ | サービス側の許可で決まる範囲(読み取りのみにも、書き込み付きにもなる) | 最初の接続だけ | 毎週同じ読み取りを繰り返すとき |
| Claude in Chrome | 自分がログインしている画面で、自分にできる操作すべて | 接続不要だが画面の変更に弱い | コネクタがないサービスを読みたいとき |
表で見ると、速さの順と狭さの順は一致しません。コネクタがいちばん手軽に見えて、許可の設定次第で意外に広くなります。Claude in Chrome は準備が要らない代わりに、私と同じ権限で動きます。ログイン済みの画面は、メールの送信ボタンも、削除ボタンも並んでいる場所なのです。
私の線引き:読むだけなら、狭い道から
試した結果、順番はこう落ち着きました。
読むだけの作業は、いちばん狭い道から。広い道は、狭い道で足りなかったときだけ。
具体的には次の流れです。
- まず、必要な分だけ書き出してフォルダに置けるかを考えます。メールなら件名と本文の抜粋、予定表なら今週分の一覧です。多くの場合、これで足ります。
- 毎週同じ読み取りになってきたら、コネクタに切り替えます。許可の一覧を必ず開き、読み取りだけに絞れるかを確かめます。絞れない場合は、そのコネクタを見送ります。
- コネクタがなく、書き出しもできないサービスだけ、Claude in Chrome に任せます。見る画面は、最初に指定しておきます。
三番目は慎重に使っています。画面の操作は、Claude が一手間違えたときの影響が、ほかの二つより大きいからです。
Cowork に渡す指示の雛形
道を選んだあとは、指示で線を引き直します。許可の設定とは別に、依頼文でも「読むだけ」を明記しておくと、迷ったときの動きが落ち着きました。
今日の作業:先週届いた問い合わせメールを、種類別に分けて表にまとめてください。
使ってよい情報:フォルダ「inquiry-test」の中の CSV だけ
作業の範囲:読む・表にまとめる・新しいファイルとして保存する
しないこと:送信、返信、削除、既存ファイルの上書き、外部サービスへの投稿
迷ったとき:実行する前に、何をしたいのかを一文で私に聞いてください
出力:種類・件数・代表的な一文の3列で、新しいファイル名に日付を付けて保存この雛形で意識しているのは三点です。使ってよい情報を名指しすること。しないことを先に書くこと。そして、迷ったときは止まって聞くよう伝えること。
「しないこと」を書くのは、少し疑い深いようで気が引けました。けれど、遠慮なく書いたほうが、結果的に私も安心して任せられるのです。
触らせない場所を、先に決めておく
もう一つ、私が決めている線があります。お金が動く画面、他の人へ連絡が届く画面、そして一度押したら戻せない操作のある画面には、Claude in Chrome を入れません。
こうした場所の画面は、私にとって「読む場所」ではなく「ボタンが並んだ場所」です。必要な情報だけ書き出して、先に自分の目で読み、そのうえで Cowork にはファイルのほうを読ませます。数分は余計にかかります。けれど、最悪の押し間違いを思い浮かべると、その数分は安いものだと感じます。
慎重すぎるのかもしれません。それでも、Cowork の動き方を見てから決まりを緩めるほうが、何かが送られてしまったあとで締め直すより、ずっと気が楽なのです。
試す順番:最初の一週間の例
非エンジニアの方がはじめて試すなら、次の順番をおすすめします。
- 初日:ダミーの CSV を3行ほど作り、フォルダに置いて、雛形どおりに頼みます
- 二日目:自分の予定表から今週分だけを書き出し、同じ雛形で読ませます
- 三日目以降:毎週繰り返すと分かった読み取りだけ、コネクタへ移します。移す前に、許可の一覧を開いてください
コネクタに進むのは、書き出しの手間が本当に苦になってからで十分です。急ぐと、私のように「次へ」を押してしまいます。
うまくいかなかったとき、最初に確かめる三点
読み取りが期待どおりにならないとき、私は次の順で確かめています。
- 渡した範囲は合っているか:フォルダの場所、書き出した期間、接続したアカウントの取り違え
- 許可は足りているか、多すぎないか:足りないなら読めず、多すぎるなら別の問題の芽になります
- 指示に「迷ったら聞く」が入っているか:入っていないと、Claude が推測で埋めてしまうことがあります
この三点で直らないときは、道を一段広げる前に、いったん書き出しの道へ戻ります。広げる判断は、原因が分かってからでも遅くありません。
まとめ:次にやること
今日できることは一つです。いま接続しているコネクタの許可の一覧を、一度だけ開いてみてください。読むだけで足りる用途なのに書き込みまで許していたら、そのコネクタだけ、許可を見直します。
私は、読むだけの仕事には、読むだけの道を。 この線引きだけは、急いでいる朝でも守るようにしています。