Claude in Chrome を入れて数日目の夜、サイドパネルに「新しい権限が必要です」という確認が出ました。広告の管理画面を開いたときです。選択肢は三つあって、私は反射的に真ん中を押そうとして、手が止まりました。
押そうとしていたのは「このサイトでは常に許可」でした。毎回聞かれるのが面倒だったのです。ただ、その画面からは収益の設定を書き換えられます。面倒さと引き換えに渡してよい権限なのかを、私はそのとき考えていませんでした。
最初にお伝えしたいのは、許可の設定には「モード」と「サイト」の二段があり、迷いやすいのは後者だということです。公式ヘルプの記述を確かめたうえで、私自身が個人開発の作業で引いた線を書き残します。画面の文言は更新されていくので、2026年10月時点の内容としてお読みください。
まず、許可は二段に分かれています
公式の権限ガイドを読み直して、最初に整理したのはここでした。
一段目は、チャット入力欄のドロップダウンで選ぶ「許可モード」です。二段目は、特定のサイトに対して出てくる「新しい権限が必要です」の確認で、こちらは「サイトごとの許可」です。
| 段 | どこで決めるか | 決めること |
|---|---|---|
| 一段目 | 入力欄のドロップダウン | Claude が行動する前に、どれくらい確認するか |
| 二段目 | サイトごとに出る確認ダイアログ | そのサイトで、確認なしに動いてよい範囲 |
混ざりやすいので、先に言い切っておきます。モードを慎重にしても、サイトに「常に許可」を付けてしまえば、そのサイトでは確認が減ります。逆に、モードを軽くしても、確認が必須のサイトでは止まります。二つは別のつまみです。
許可モード3種の違い
現行のヘルプでは、モードは次の三つです。以前の名前は括弧に添えます。
| モード | 動き方 | 向く場面 |
|---|---|---|
| Manually approve(旧 Ask before acting) | 行動のたびに確認が入る。クラシックなパネルでは、先に計画(使うサイトと手順)を承認する | お金・送信・大事なファイルに触れる作業 |
| Automatically approve | Claude が各行動の安全性を確認しながら進め、危ないと判断したものは自動で止める。止まり続けると確認に戻る | 読む・集める・調べる作業 |
| Skip all approvals(旧 Act without asking) | 確認も安全性の自動チェックもない | 関わるサイト・ファイル・コネクタのすべてを信頼できる場合だけ |
Cowork のサイドパネルでは、既定が「Automatically approve」です。モードを切り替えると、その選択は次回以降も保たれます。
ここで私が気にしたのは、三つ目の名前の軽さでした。「確認を飛ばす」は便利そうに見えますが、公式の説明でも、自動チェックもなくなる点がはっきり書かれています。二つ目との差は、確認の回数ではなく、見張りがいるかどうかなのです。
私が引いた線は、作業の結果が戻せるかどうか
モードの選び方は、結局のところ「その作業が間違えたとき、戻せるか」で決めています。
- 戻せる(読む・集める・下書きを作る): Automatically approve
- 戻しにくい(設定を書き換える・メッセージを送る・公開する): Manually approve
- Skip all approvals: 使いません
三つ目を使わないのは、慎重だからというより、使う理由がなかったからです。自動で通るモードでも、読む作業なら十分に速いと分かりました。
広告収益のレポートを読んで気づいたことを書き出す、クラッシュ報告の一覧を読んで傾向をまとめる——こういう作業は自動で任せています。逆に、メディエーションの優先順位を実際に変える手前では、モードを Manually approve に切り替えます。切り替えを忘れないように、依頼の書き出しに作業の性質を書くことにしました。
# Before: 何をどこまでしてよいかが書かれていない
AdMob のメディエーション設定を見て、改善点を教えて。
# After: 読むだけだと明示し、書き換えは別の依頼に分ける
この作業は「読むだけ」です。AdMob の管理画面を開いて、メディエーショングループの
優先順位とフロアを一覧にしてください。設定の変更・保存・公開は行わないでください。
変更が必要だと思ったら、変更案を文章で書くだけにして、実行は私が指示します。なぜこう書くかというと、モードは Claude の行動を守る仕組みですが、依頼の範囲を決めるのは私の文章だからです。仕組みと文章の両方で線を引いておくと、どちらかが緩んだ日にも、もう片方が残ります。
「常に許可」を付けるサイトの基準
ここからが、冒頭で手が止まった理由です。
サイトごとの確認には、三つの選択肢があります。「この操作だけ許可」「このサイトでは常に許可」「拒否」です。公式は「この操作だけ許可」について、拡張機能を使うときにいちばん安全な選択だと説明しています。常に許可は、完全に信頼できるサイトにだけ使うよう書かれています。
私の基準は、次の二つの質問に両方「はい」と答えられるサイトだけです。
- そのサイトで、読む以外のことができない(あるいは、できても取り返しがつく)か
- 公式の提供元で、自分以外の誰かの文章が混ざらないか
二つ目は少し説明が要ります。Claude が読むページに、第三者が書いた文章が混ざっていると、そこに紛れた指示を拾うおそれがあります。公式の「安全に使う」ガイドもこの種のリスクに触れています。コメント欄・レビュー欄・外部の掲示板があるサイトは、読むだけでも常に許可を付けない、というのが私の線です。
結果として、「常に許可」が付いているのは、自分のサイトの公開済みページを確認するためのものと、読み取り中心のレポート画面に限られています。広告やストアの管理画面のように、設定を書き換えられる場所は、毎回「この操作だけ許可」を選んでいます。手間は増えますが、その手間が増える場所では、そもそも立ち止まりたいのです。
なお、常に許可を付けたサイトでも、ファイルのダウンロード、機微な情報の入力、権限の承認では、確認が入ります。これは公式にも書かれている動きで、常に許可は「何でも通す」という意味ではありません。ただ、その三つ以外の行動——たとえばボタンを押して設定を保存する、といった操作——は、確認なしで進みます。
付けたあとの棚卸しを、月に一度だけ
冒頭の場面には続きがあります。結局そのときは「この操作だけ許可」を選びましたが、別の日に、便利さに負けて常に許可を付けたサイトがありました。そのことを、私は数週間忘れていました。
気づいたのは、設定画面を開いたときです。拡張機能のアイコンから右上の三点を開き、「Extension settings」の Permissions ページに進むと、「Your approved sites」に許可済みのサイトが並びます。そこで取り消しもできますし、許可の履歴も見られます。
見落としていたのは、設定そのものではなく、付けた事実を覚えている前提で運用していたことでした。いまは、月初に一度だけこの一覧を開いて、見覚えのないものと、書き換えができる場所のものを外します。所要時間は数分で、外したからといって困ったことは一度もありません。
最後に、変えられない線の確認
どのモードを選んでも、Claude にはできないことがあります。購入や金融取引、アカウントの作成、クレジットカードや ID の扱い、完全な削除(ゴミ箱を空にする、メールやファイルを消す)などです。メールやウェブページの中に書かれた指示を実行しないことも、同じ並びで挙げられています。
これは安心材料ですが、私は「だから任せきりでよい」とは受け取っていません。公式も、どのモードも判断の代わりにはならないと書いています。お金・自分名義のメッセージ・大事なファイルに関わる作業では、手元で見ていることを前提にしています。
まず今夜は、拡張機能の設定から「Your approved sites」を開いて、一覧を眺めてみてください。見覚えのないサイト、あるいは設定を書き換えられるサイトが一つでもあれば、取り消すだけで、次の作業から「この操作だけ許可」に戻せます。私も、その一覧を開くところから始めました。