件名に「deprecation」や「retire」と書かれたメールが届くと、私はいつも、中身を開く前に手が止まります。
個人開発でアプリのバックエンドから Claude API を呼んでいる身でも、そうなのです。まして、ノーコードの連携ツールや、制作会社に任せた仕組みの裏側で Claude が動いている方にとっては、英語の文面に「いつまでに何をすればいいのか」が見えず、閉じて「あとで」にしてしまうこともあるのではないでしょうか。私も最初のうちは、そうしておりました。
最初にお伝えしたいのは、このメールを読んだその日に、何かを書き換える必要はないということです。必要なのは、画面を3つ開いて、事実を3つ数えることだけです。
先に知っておきたい、公式が約束している余裕
2026 年 10 月 27 日に、公式の model deprecations ページで Sonnet 4.5(claude-sonnet-4-5-20250929)の欄を確かめました。
| 項目 | 公式ページの記載 |
|---|---|
| 状態 | Deprecated(非推奨)。2026 年 9 月 30 日に告知 |
| 提供終了日 | 2026 年 11 月 30 日(ページ上は暫定の日付) |
| 推奨される移行先 | claude-sonnet-5-5 |
| 終了後の挙動 | そのモデルへのリクエストは失敗する |
同じページには、一般公開されたモデルについては、提供終了の少なくとも 60 日前に、利用中の顧客へメールとドキュメントで知らせると書かれています。9 月 30 日から 11 月 30 日までは 61 日です。今日から数えると、残りは 34 日になります。
急がなくてよい日数です。ただ、34 日は「あとで」を3回繰り返せば消える長さでもあります。
1つ目の画面 — このメールは、自分に関係があるのか
最初に確かめるのは、中身ではなく宛先の事情です。
この通知は、Claude API を使って Claude を呼び出しているアカウント向けのものです。Claude のチャット画面を開いて会話しているだけであれば、API のモデル名を意識する場面はありません。公式ページも API の提供終了として書かれていますので、チャットだけをお使いの方は、ここで安心して構いません。
関係があるかもしれないのは、次のような場合です。
- 自分で Console にログインして API キーを発行した経験がある方
- ノーコードの連携ツールに Anthropic の API キーを登録した方
- 制作会社や知人に Claude を使った仕組みを作ってもらった方
3つめは、ご自身では気づきにくいところです。心当たりがあれば、Console の Usage 画面で、直近の利用がモデル別にどう並んでいるかを見てください。右上の Export から CSV を取り出すと、API キーごと、モデルごとの内訳を表計算ソフトで開けます。
もし利用の行が1本もなければ、通知は過去のキーに対するものだった可能性があります。その場合は「対応なし」と書き残して終わりです。
2つ目の画面 — 日付は動くものとして読む
次に、提供終了日の読み方です。
公式ページの 11 月 30 日には「暫定」という但し書きが付いています。暫定とは、動く余地がある日付だということです。ただ、動くとしても前倒しの方向かもしれません。私は、日付は「遅くなる」ではなく「この日までに」と読むことにしています。
終了日を過ぎると、そのモデル名を指定したリクエストは失敗します。公式ページには、具体的なエラーの文面までは書かれていません。つまり、ある日突然、連携ツールの実行履歴に失敗が並び始める、という形で気づくことになります。
私がカレンダーに入れているのは、終了日そのものではなく、その2週間前の日です。11 月 30 日なら、11 月 16 日。ここを「確認が全部終わっている日」にしておくと、本番の日に胃が痛くなりません。
3つ目の画面 — 誰に、何を伝えるか
Usage で利用の行が見つかったら、次は「誰が直すか」です。
自分で直せる方は、コードや設定の中で指定しているモデル名が、次のような形になっているはずです。
{
"model": "claude-sonnet-4-5-20250929",
"max_tokens": 1024,
"messages": [{"role": "user", "content": "こんにちは"}]
}この model の行が、置き換えの対象です。公式の推奨移行先は claude-sonnet-5-5 ですので、最終的には次の1行になります。
{
"model": "claude-sonnet-5-5",
"max_tokens": 1024,
"messages": [{"role": "user", "content": "こんにちは"}]
}ただし、名前を差し替えただけでは動かないことがあります。モデルによっては、渡せる設定値に違いがあり、古い設定が残っていると拒否されるためです。実際の確認方法は、別の記事にまとめました。
- Sonnet 4.5 の退役まで 43 日 — 呼び出し元は grep ではなく、Usage の CSV から数えました
- 11月30日に止まる claude-sonnet-4-5、置き換え先が安いと決める前に請求の差分を確かめました
ご自身で直さない方は、作ってくれた方や運営元に、次の3点だけを伝えていただければ十分です。
- Anthropic から、
claude-sonnet-4-5-20250929の提供終了通知が届きました - 提供終了は 2026 年 11 月 30 日(暫定)で、推奨の移行先は
claude-sonnet-5-5とのことです - 11 月 16 日までに、動作確認まで終わらせたいと考えております
メールを転送するだけでも伝わりますが、上の3行を添えておくと、相手が最初に何をすればよいかが分かります。
数えてから、変える
ここまでを振り返ると、私が毎回守っているのは順番です。名前を変えるのは最後、数えるのが先。
慌ててモデル名を書き換えると、動いているものまで壊してしまうことがあります。Usage を数えて、関係する場所を見つけてから、一つずつ置き換えていけば、失敗しても原因を辿れます。
まずは今日、Console の Usage を開いて、直近 30 日のモデル別の行に claude-sonnet-4-5 があるかどうかだけを確かめてみていただければと思います。それだけで、このメールの重さは、だいぶ変わるはずです。