最初に断っておくと、わたしはClaude Coworkの熱心なユーザーです。でも熱心であるがゆえに、使ってきた中で感じた「ここは正直つらい」という部分も遠慮なく書きます。
半年間、4つのAI技術ブログサイトの運営をCoworkに任せてきました。記事の自動生成から、SEOデータの収集、更新ログの記録まで。そこで見えてきた「Coworkの真価」と「まだ足りないもの」を、できるだけ具体的にお伝えします。
期待どおりだったこと — スケジュールタスクの安定性
使い始める前、わたしが一番不安だったのは「本当に毎日動き続けるのか」という点でした。
結論から言うと、スケジュールタスクの安定性は想像以上でした。4時間ごとに各サイトへ記事を投稿するタスクを組んでいますが、実行漏れはほぼゼロです。人間がやれば絶対に忘れる深夜3時の投稿も、淡々とこなしてくれます。
面白いのは、エラーが起きたときの振る舞いです。gitのrebaseに失敗しても、次の実行で自動リトライしてくれることが多い。「失敗してもリカバリを試みる」という設計が、実際の運用でどれほどありがたいか。手動スクリプトでの自動化に疲れた人ほど、この差を実感できると思います。
期待を超えてきたこと — メモリシステムの「成長する知識」
正直、最初はメモリ機能を舐めていました。「前回の会話を覚えてくれる程度でしょ」と。
半年経った今、わたしのCoworkのメモリには、60本以上の記録が蓄積しています。「このサイトでは内部リンクを言語プレフィックスなしで書く」「カテゴリを追加するときは6〜8ファイルのハードコードラベルも更新する」といった、実際の失敗から学んだ教訓がぎっしり詰まっています。
新しいセッションを開くたびに、その知識を引き継いだ状態でスタートできます。これは単なる「メモ帳」ではなく、「共に育てていくナレッジベース」です。わたしが同じミスを繰り返さないのは、記憶力が良いからではなく、Coworkがちゃんと覚えていてくれるからです。
正直つらかったこと1 — スキルの設計は思ったより難しい
「SKILL.mdを書けばAIが自律で動く」という触れ込みに惹かれてCoworkを使い始めた方も多いと思います。わたしもそうでした。
しかし実際には、SKILL.mdを「よく動くスキル」にするには相当な試行錯誤が必要です。たとえば、スケジュールタスクでRead/Write/Editツールを使うと許可ダイアログが出てしまい実行が止まる、という問題に気づくまでに何週間もかかりました。bashのcatやsedで代替するという解決策にたどり着くまでに、かなりの時間を費やしました。
これは仕様の問題というより、「AIに自律実行させるときの設計作法」がまだ世の中に蓄積されていない段階だということだと思います。
コツをひとつ共有するとすれば、「ユーザーへの確認を一切行わない」という制約を最初から明示的にスキルに書き込むことです。これだけでスケジュールタスクの完走率が劇的に変わります。
正直つらかったこと2 — VM環境のディスク管理
これはかなり技術的な話になりますが、Coworkが使うLinux VMのディスク容量は限られています。
最初、記事生成のたびにnpm installを実行するスキルを書いていたのですが、これが原因でVMが完全に止まる事態が発生しました。node_modulesが約500MBも使うためです。
解決策は「npm installを絶対に実行しない」こと。記事の投稿に必要なのはgit clone → MDXファイル作成 → git pushだけで、npmは一切不要でした。CloudflareのCIビルドが自動的に必要な処理をやってくれるからです。
この教訓を得るまでに、何度かVM環境が壊れました。Coworkをスケジュールタスクで本格運用するなら、「VMのリソース制約を理解した設計」が必須です。
予想外によかったこと — GitHub REST APIを使ったpush手法
git操作まわりで詰まることが多かったので、あるとき思い切って「gitコマンドを捨てる」という選択をしました。
GitHub REST APIを使って、blobs → trees → commits → refs という順番でPRを作らずに直接mainブランチへpushする方法です。index.lockエラーや権限問題が一切出なくなりました。これはCoworkの使い方というより、「AIエージェントにgit操作をさせるときの最善解」として広く使えるパターンだと思います。
半年間で変わったわたしのCowork観
最初は「魔法のツール」だと思っていました。「SKILL.mdを書けば何でも自動化できる」と。
今は違います。Coworkは「育てるツール」だと理解しています。
スキルの設計、メモリへの記録、失敗からの学習。これらを丁寧に積み重ねていくことで、少しずつ「自分だけのAIチーム」が出来上がっていきます。半年かけてわたしのCowork環境が今の形になったように、あなたのCoworkも、使いながら育てていくものです。
焦らず、でも諦めず。失敗したらメモリに記録して次に活かす。そのサイクルを回し続けることが、Coworkを本当に使いこなすための唯一の道だと思っています。
次のステップ
もしこれからCoworkを始めるなら、まず「スケジュールタスクを1つだけ作って2週間動かす」ことをおすすめします。大きなシステムを最初から組もうとせず、小さな自動化を安定させることから始める。
半年後、あなたのメモリには、あなただけの「失敗と発見の記録」が蓄積されているはずです。