「Windows に Cowork を入れたのに、最初のタスクで止まる」という報告を、Issue の一覧で何度も見かけた夜がありました。私が日々使っているのは iMac で、Windows の画面を手元で再現できません。
そこで、実機の代わりに、公式の Windows 向けチェックリストを頭から読み直し、確かめる順番を組み立てました。ここでお伝えするのは、私が Windows 機で試した記録ではありません。公式の記述から、手間の少ない順に並べた確認表です。そのつもりで読んでいただければ幸いです。
最初にお伝えしたいのは、設定を触る前に、まず「入れ方」と「機能の有無」を見るということです。レジストリや開発者向けの設定に手を伸ばす前に、確かめることが五つあります。
公式が書いている前提を、先に一枚にします
参照したのは、Claude Desktop を Windows の端末群に配布する管理者向けのチェックリストです。個人利用のページとは文面が違う部分もありますが、Cowork が動くための土台は共通だと私は受け取りました。重なる部分だけを拾っています。
| 順番 | 確かめること | 公式の記述(要点) |
|---|---|---|
| 1 | インストーラーの種類 | Cowork は .msix パッケージで入れた Claude Desktop でだけ使える。旧来の .exe では Cowork が付かない |
| 2 | Windows のバージョンと S モード | Windows 10 の 2004(ビルド 19041)以降、または Windows 11。S モードでは Cowork は動かない |
| 3 | Virtual Machine Platform と BIOS の仮想化 | Windows の機能 Virtual Machine Platform を有効にして再起動。ファームウェアで VT-x / AMD-V をオンにする |
| 4 | 空き容量とフォルダの圧縮 | 8 GB 以上のメモリ、%LOCALAPPDATA% のあるドライブに 20 GB ほどの空き。仮想マシンのディスクは圧縮・EFS 暗号化されたフォルダでは起動しない |
| 5 | セキュリティソフト | Cowork が使う claude.exe という補助プログラムが、パス指定のルールでブロックされていないか |
表の並びは、確かめるのに要る時間の短い順です。1 と 2 は設定画面を開くだけで、3 からは再起動や管理者権限が絡みます。
順番 1 と 2: 入れ方と、Windows の版を見る
最初に疑うのは、Cowork の機能そのものではなく、入れたアプリが Cowork の付いている種類かどうかです。公式のチェックリストには、.msix で入れたときだけ Cowork が使えること、古い .exe のインストーラーでは Claude Desktop は動いても Cowork は付かないことが明記されています。
確かめ方は短いものです。Windows の「設定」から「アプリ」を開き、Claude の項目が出ているか、どこから入れたかを思い出します。思い出せないときは、公式のダウンロードページから入れ直すのが、いちばん早い道でした。
続けて、S モードを確かめます。「設定」の「システム」にある「バージョン情報」に、Windows のエディションが出ます。S モードであれば Cowork は動かないとされています。ここで時間を使いすぎないよう、この二つは三分で終えるつもりで見てください。
順番 3: Virtual Machine Platform が眠っていないか
Cowork は、Claude が出すシェルコマンドを、アプリが端末の中に用意した専用の仮想マシンで実行します。つまり、その端末が仮想マシンを起動できることが前提になります。
公式が挙げているのは二点です。ひとつは、Windows の機能 Virtual Machine Platform を有効にして、端末を再起動すること。もうひとつは、ファームウェア側で Intel VT-x または AMD-V をオンにすることです。前者の有効化には管理者権限が要り、標準ユーザーのままでは後から入れられないとも書かれています。
確認の手順は、次のとおりです。管理者として PowerShell を開き、機能の状態を表示します。
# 管理者として開いた PowerShell で実行します(表示するだけで、設定は変えません)
Get-WindowsOptionalFeature -Online -FeatureName VirtualMachinePlatform |
Select-Object FeatureName, StateState が Enabled なら、この項目は問題ありません。Disabled であれば、公式のチェックリストに載っている有効化のコマンドが使えます。ただし、再起動が必要になりますので、作業中のファイルを保存してから行ってください。
ここで、表示コマンドを先に打つことを、私は線引きにしています。いきなり有効化のコマンドを打たないのは、すでに有効なのに原因が別にある場合に、再起動の時間だけを失ってしまうからです。
BIOS の仮想化については、画面の出し方が機種ごとに違うため、ここでは書き切れません。タスクマネージャーの「パフォーマンス」タブにある CPU の欄に「仮想化: 有効」と出ていれば、おおむね通っていると見てよいはずです。
順番 4: 20 GB の空きと、圧縮されたフォルダ
見落としやすいのが、容量とフォルダの属性でした。公式の記述では、Cowork は最初のタスクを始めたときに作業用の環境をダウンロードし、%LOCALAPPDATA% のあるドライブに置きます。そのため、そのドライブに 20 GB ほどの空きが要ります。メモリは 8 GB 以上が目安で、足りなくても起動はしますが、タスクは遅くなるとのことです。
もうひとつ、仮想マシンのディスクは、NTFS の圧縮や EFS による暗号化がかかったフォルダからは起動できません。アプリのデータ置き場(%LOCALAPPDATA% の下の Claude 関連フォルダ)が、会社のポリシーで圧縮されていないか。個人の端末ならまず心配はありませんが、会社から貸与された端末では、一度だけ確かめる価値があります。
フォルダのプロパティを開き、「詳細設定」で「内容を圧縮してディスク領域を節約する」と「内容を暗号化してデータをセキュリティで保護する」にチェックが入っていないことを見ます。入っていた場合は、勝手に外さず、管理者に相談するのが安全です。
順番 5: 補助プログラムが止められていないか
ここまでが揃っていても動かないとき、公式は「セキュリティソフトが claude.exe をブロックしていないか」を見るよう書いています。この補助プログラムは、Anthropic が署名した別の実行ファイルで、ユーザーのプロフィール配下に置かれます。パスで許可を決めるタイプのセキュリティソフトだと、場所が毎回変わる実行ファイルが止まる場合があるのだと思います。
個人の端末であれば、セキュリティソフトの「ブロックした項目」の履歴に claude.exe が出ていないかを見ます。会社の端末で履歴が見えないときは、ここから先は自分で解決しようとしないほうがよい領域です。管理者には「claude.exe を発行元で許可してほしい」と、一文で依頼すれば足ります。
なお、環境によっては作業用の環境のダウンロード先(downloads.claude.ai)に届かず、最初のタスクだけが止まることもあるそうです。会社のネットワークでは、この点も頭の片隅に置いてください。
開発者モードは、最初に触らなくてよいと考えています
こうした報告を読むと、「Windows の開発者モードを入れれば直るのでは」と考えたくなります。実際、そう書いてある記事も目にします。ところが、公式のチェックリストには「Windows の開発者モードは要りません」と明記されています。
私自身は Windows 機で試しておりませんので、開発者モードを入れて直ったかどうかを語ることはできません。言えるのは、公式が要件として挙げていない設定から触ると、原因の切り分けが遠回りになりやすい、ということだけです。
直す前に、公式が「要る」と書いているものと「要らない」と書いているものを一枚に並べてから動きます。 今回の線引きは、この一文に尽きます。
動かなかったときの、一言の伝え方
上の五つを見ても直らないとき、相談先に渡す情報は多くなくて構いません。次の四点があれば、話は早く進みます。
- Claude Desktop をどの種類のインストーラーで入れたか(
.msixか.exeか) - Windows のバージョンと、S モードかどうか
- Virtual Machine Platform の
State - 空き容量と、止まった場面(起動時か、最初のタスクの途中か)
あわせて、Cowork に渡すフォルダの考え方は、書き込みを任せたのは三番目でした — Cowork にフォルダを渡す順番に書いています。動いたあとの最初の一歩には、接続フォルダは、何を渡すかより何を歩かせないかで決まりますも合わせてご覧ください。
まずは、今日のうちに「入れ方」と「S モード」の二つだけを確かめていただければと思います。設定を触るのは、それが済んでからで遅くありません。私も、手順を一枚の表にしてから、迷う時間がはっきり減りました。